国内

さだまさしが対談に指名したミスター・ドクターカーの仕事ぶり

「ミスター・ドクターカー」こと岐阜県中津川市民病院の医師・間渕則文さん

 医療格差が叫ばれる昨今。だが、身近にいてほしいと思えるお医者さんもいるものだ。そんな医師の姿をお届けする。ここでは、その仕事ぶり、情熱、人柄に感銘を受けたさだまさし(64才)がテレビ番組で対談相手に指名した岐阜県中津川市民病院の医師・間渕則文さん。“ミスター・ドクターカー”と呼ばれるように、自分の生活は二の次で、乗用車型ドクターカーを駆って奥美濃の山中を自在に走り回り、救命率を驚異的に上げた彼の手腕、行動力と熱い医者魂に迫る。

 * * *
 その日、夜9時過ぎ、119番通報を経由して緊急出動要請の無線が入った。ベッドに入ったばかりの“ミスター・ドクターカー”は、ガバッと起き上がり、素早くユニフォームを整えた。そして、

「トイレ行ってきます!」

 この言葉は、自分自身への出動宣言だ。トイレをすますと安全靴をはき、ドクターカーに飛び乗る。実に慌ただしいが、準備万端整えヘルメットも装着し、抜かりなく走り出す。この間、わずか4分。漆黒の闇の中に赤色回転灯の光とサイレンの音が響く。

「昼間なら病院にいるので、要請から2分で出られるんですが、夜間は待機宿舎からでしょう。どうしても4分はかかるなあ」

 そう言って、間渕さんは口元を引き締める。長野県との県境、岐阜県中津川市の夜間、ドクターカーの出動風景は、例外なく緊迫感に包まれている。

「まずおしっこなんですよ。いったん出動したら、トイレはいつ行かれるかわからないですからね」

 ドクターカーに限らず、消防や救急の緊急車両の先は何が待ち受けているかわからない。他のスタッフと同乗する場合は、運転は看護師に任せて、自分では傷病者の容体を聞き、応急処置などの段取りをつける。

 夜間の場合は、たった1人での出動だから、運転も無線でのやりとりも、「緊急車両通ります。中央空けてください」というアナウンスもこなす。現場に到着すれば、「医者が来ました!」と自ら名乗って、けが人や病人のところへ一目散。

 交通事故なら道路の通行遮断の必要や「火災の発生なし、ガソリン漏れなし」というような報告もし、車の中で動けないでいるけが人に向かって、「こんばんは、わかる? 動かんでいいよ」などと声をかけ、治療を開始する。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン