「これは、中国から渡ってきた食べ物なのか?」と聞いたところ、 みな「これはブリヤートの伝統料理で、中国のものなんかじゃない」と、一様に語気を強めるのだ。ブリヤートから中国を経由して生還、復員した日本人が、このノウハウを持ち帰って、各地でその土地の材料で餃子を作り出したのが、日本の餃子の原点だと私は確信した。
今や“国民食”と呼べるほど、日本の庶民派グルメの代表に成長した餃子だが、この先、さらなる大きな変貌を遂げることになるだろうと、筆者はみている。中の餡のバリエーションはもちろん、つけダレも、醤油、酢、ラー油という単調な組み合わせでなく、岩塩、レモン、柚子胡椒など、まだまだ餃子にぴったりハマる調味料が眠っている。そして、全国各地に、お手頃な値段で、美味しい餃子が食べられる名店が多数存在し、今なお増え続けている。
日本独自に進化した餃子は、世界中から訪れる観光客を確実に満足させる最高の「おもてなし」として、さらに成長を遂げることになるだろう。
撮影■岩本朗
※週刊ポスト2016年11月4日号