国内

エリート大生集団暴行事件 集団の「ノリ」と「空気」も影響

優秀な大学生の万能感が暴走を生む?

 東京大学の「誕生日研究会」と称されたイベントサークルの松見謙佑被告(22才・事件当時)ら5人が今年5月逮捕された。1次会の居酒屋、2次会の被告の1人の部屋にわたって、誘い出し、泥酔させた女子大生・A子さんを暴行した容疑からだ。

 松見被告らの調書によると、「誕生日研究会」の実態は、ガードのゆるい女の子に酒を飲ませて理性のハードルを下げていやらしいことをしようという目的で作ったサークルとある。被告人質問で松見被告は「なぜ普通につきあおうと思わないのか?」と聞かれこう答えている。

「そういった飲み会の…騒がしい雰囲気、乱れた雰囲気というのが楽しかった」

 2次会の場所となった家の家主・河本泰知(22才)もA子さんが泣き出し、同じく呼び出されていたB美さんが帰ったりするなかで、飲み会がつまらなくなっていたが、「周りの人間も茶化す雰囲気だったので、ぼくも同調して」と答えている。

 さらに場を盛り上げる役を自認する、A子さんの元カレである松本昴樹被告(23才)は当日の心境をこう明かしている。

「自分の感覚が麻痺していたというか、飲んで脱いだり脱がせたり、飲めばあり得ることと考えてたんで、特別止めようとは思ってなかったです。(中略)え~、まぁ…被害者が泣いた後、泣き始めたあとには、さすがに、という気持ちはありましたが、自分がわざわざ止めに入って白けさせるのもなぁという気持ちもあった」

 いずれも無理やり裸にされ泣いている同世代の女性への思いやりはなく、その場の雰囲気をいかに壊さないかということばかり考えている。信じられない。うちの子は違う。そう思う人が多いだろう。しかし、多くの大学生に話を聞くと、この3人が特別なわけではないことがすぐにわかった。

 野田大和さん(仮名、東大3年生)は、「そういう雰囲気になった時、やめろって言えるかどうか正直、自信がない」とこぼす。

「だって大学生活が充実するかどうかってサークルしだいでしょ? まじめに野球とかテニスをやるサークルだと、朝練とかミーティングとかが面倒だし、人間関係も濃そうだから、そこまでがっつり人とかかわるのは嫌だけど、サークルって重要だから、軽いノリのサークルには所属していたい。友達とかいないのってありえないし。だから、そういう雰囲気になったとき、“やめろ”って言ったら、永遠に“ノリ悪い”って言われそうでしょ。そういうのはキツい」(野田さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト