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102歳の現役写真家・笹本恒子さん 激動の人生が映画に

笹本さんと河邑厚徳監督、音楽を担当した加古隆氏 (C)2016TIFF

 11月1日、「第29回東京国際映画祭」において『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』が特別上映された。上映後、主役の一人である笹本恒子さんが登場。監督の河邑厚徳氏、音楽を担当した加古隆氏とともに舞台挨拶を行った。

 笹本さんは、1914年生まれの102歳。日本人初の女性報道写真家であり、今も現役で活動している。現在リハビリ中のため車椅子を利用しているものの元気で、スタイリッシュな黒いハット姿で登壇した。

「思いがけないことになりましてドキドキしております。100歳まで生きていて幸せです。今は102歳になってしまいましたけれど。もっと美人だったら(映画制作の)スタッフもうれしかったのではないかと思います」と、ユーモアを交えながら心境を語り、会場を沸かせた。

 笹本さんは10月25日には、映画祭のオープンニングセレモニーを飾るレッドカーペットに河邑監督らにエスコートされて登場した。並み居る話題作品の俳優陣のなか、紫のスエードのベストスーツに身を包んだ晴れやかな笑顔に注目が集まった。

『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』は、笹本恒子さんと去る8月に惜しくも亡くなった伝説の新聞記者・むのたけじさん、その存在自体が奇跡のような二人を追い続けたドキュメンタリー映画である。カメラとペンを手に大正・昭和・平成という激動の時代を生き抜き、100歳を超えても現役であり続ける二人。その生きる姿は、世界一の超高齢化社会に突入し、いかに生き、いかに死ぬかが時代のテーマになった日本において、若者から熟年まで多くの者に励ましと希望を与えることだろう。映画は2017年6月、東京都写真美術館ほか全国で順次ロードショー公開される。

◆“開かれた皇室”三笠宮崇仁さまを撮影

 笹本さんは戦中に報道写真家としての一歩を踏み出し、数々の歴史的場面をカメラに収め、10月27日に逝去された三笠宮崇仁さまの飾らない日常をとらえた写真も残している。また、70歳を過ぎてからは明治生まれの気骨ある女性たちを数多く撮影し、「日本女性史」を写真として表現した。そうした功績が認められ、“写真界のアカデミー賞”といわれる「ルーシー賞」を受賞。10月23日、ニューヨーク・カーネギーホールで行われた授賞式では笹本さんからのビデオメッセージが映し出され、受賞の喜びが会場に流れたという。

 96歳にして実年齢を公表した笹本さんは、再び世の注目を集め、そのライフスタイルを紹介する本が数々出版されている。なかでも『好奇心ガール、いま101歳』(小学館文庫)には波乱万丈の半生や100歳を迎えてからの暮らしぶりをはじめ、老いてもなお魅力的に生きる秘訣が詰まっている。

「老いてなお 艶(えん)というべきものありや 花は始めも 終わりもよろし」

 これは日本芸術院会員の歌人、斎藤史(ふみ)氏の歌だが、笹本さんはいつも心に留め置いているという。

 老いてもなお枯れず、艶を持ち続けたい。いくつになっても好奇心を忘れずにどこにいても自分らしく生きたい。こんな笹本さんの心構えは、“アラハン”を迎えても幸せに暮らすためのヒントになるに違いない。

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