国際情報

韓国 LG、現代など大企業の3分の1が世襲採用協約

■大統領の選挙を手伝うと再就職先を紹介してもらえる
 今年9月、韓国唯一の証券・先物取引所である韓国取引所の新理事長に、かつて朴槿恵大統領の選挙陣営を手伝った経験のある元官僚が内定したと報じられた。朴氏の選挙絡みでいえば大統領選挙を支援した元大学教授が2014年に韓国観光公社の社長に任命されたことがある。

「この元教授は観光に関する政策や事業に携わった職歴がほとんどなかったため、この時も『露骨すぎるコネ、論功行賞だ』と批判されました」(韓国人ジャーナリスト)

■セウォル号のオーナーが船舶事業に参入できたワケ
 死者・行方不明者304人を出した2014年4月のセウォル号沈没事件。重量上限の3倍の貨物を積み、救命ボートの大半が使用不能。船長が乗客を置き去りにして逃亡するなど、乗客の安全を度外視した運航会社の運営姿勢が批判された。

 このセウォル号の実質的オーナーである兪炳彦(ユンビョンオン)氏は、1979年にクーデターで権力を掌握した全斗煥(チョンドゥファン)元大統領と同郷であり、そのコネを使ったことで遊覧船事業に参入する認可を得たとされる。その後、会社が急成長したのも全元大統領の後押しがあったといわれる。

 こうした「コネまみれ」の社会で、「持たざる者」は不満を募らせていく。そしてその怒りを増幅させるもうひとつのキーワードが「財閥」だ。

 2014年12月、離陸に向けて滑走路を走行する大韓航空機内で、乗務員のナッツの出し方にキレた大韓航空副社長の趙顕娥(チョヒョナ)氏が航空機を引き返させた。まだ記憶に新しい「ナッツ・リターン」事件である。

 趙氏は韓国の財閥・韓進グループ代表の長女で、親の七光りで副社長になったことは明らか。そのことへの反感と財閥そのものへの嫌悪感もあって世論は猛反発。趙氏は逮捕されて実刑判決を受けた。

※週刊ポスト2016年11月25日号

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