芸能

石川次郎氏「今でも『トゥナイトだ!』と声をかけられます」

司会の石川次郎氏と下平さやかアナ

 1980年から放送開始した深夜のワイドショー『トゥナイト』(テレビ朝日系)をリニューアルし、美人リポーターが数多く登場する『トゥナイト2』は1994年にスタートした。政治経済から風俗まで何でもありの情報番組で、月曜から木曜まで、24時をまたぐ深夜帯ながら視聴率は2ケタに迫ることもあった。8年間にわたって街に繰り出し、道行く人々に話を聞いたリポーターの高尾晶子が振り返る。

「スタッフに“ノーブラが流行ってるみたいだから取材してこい”と言われ、渋谷のセンター街で朝から晩まで80人くらいに声をかけて、何とか3人探しましたね。番組スタッフは、バカバカしいことを本気でやろうという精神で一致団結していましたね」

 番組は常に遊び心に満ちていた。例えば風邪の特集ならば、医者に今年の対策法を聞いた上で、最後に「仕事中は裸ですが、どんな対策をしているの?」と風俗嬢に取材する。桃の初採りの取材で山梨の農家を訪れた後、湘南で「桃尻娘」を探す。番組の主役はいつも一般人だった。

「ロケ台本もスタジオ台本も一切ありませんでした。自分で取材ポイントを見つけて突撃する。でも、皆さんに“トゥナイトですけど~”とマイクを向けると、“いつも見てます”と笑顔で受け入れてくれました」(高尾)

 番組からスターも生まれた。長野朝日放送のアナウンサーだった斎藤陽子は2代目アシスタントとなり、人気が爆発。発端は司会を務めた石川次郎氏の一言だった。

「彼女の個性はセクシーさにあると感じたので、“思い切って露出で勝負したら?”と勧めたら、“いいんですか?”と戸惑いながらも乗ってくれましたよ」

 胸の谷間が露わになる衣装を着ると、瞬間視聴率が上昇した。斎藤に続いてアシスタントになったのは、テレ朝の新人アナ、下平さやか。初仕事となったSMクラブの現場リポートで山本晋也監督に心境を聞かれ、「なんだか私まで叱られているみたいです」と純情で素直な感想を述べ、視聴者の心を掴んだ。

『トゥナイト2』というと風俗リポートばかりが記憶に残るが、話題になる前に取り上げた「たまごっち」が大ブームになったり、街頭インタビューで10代の少女に性感染症が蔓延していることを明らかにしたりと、番組が社会を見る目は鋭かった。視聴率は安定していたが、深夜帯をお笑い枠にするという編成方針により、2002年3月に終了。だが、復活を望む声は今も絶えない。

「街で“あ、トゥナイトだ! また見たいです”と今でも声をかけられます。とんでもない人気番組に出演していたんだなあと実感しています」(石川氏)

写真提供/(c)テレビ朝日

※週刊ポスト2016年11月25日号

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