芸能

『砂の塔』も好調 「家」を描くドラマがヒットの法則

番組公式HPより

 新しい形の「ホームドラマ」が結果を残している。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 タワーマンションを舞台にしたドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系金曜午後10時)の主人公は2人の子の母、高野亜紀(菅野美穂)。25階に引っ越してきた亜紀が遭遇したのは、低層階と高層階でのフロア差別、主婦の間でエスカレートするいじめ、行動の監視……。

「女同士のいじめがリアルすぎて滅入る」「見ていてつらい」。当初はネガティブな反響が目立っていました。

 ところが。ドラマが半ば過ぎたあたりから視聴率は上昇。連続幼児誘拐事件の犯人はいったい誰なのか!? 複雑な人間関係、からまった糸がほぐれていくのかどうか、ハラハラドキドキ。亜紀の真上26階に住む、謎めいた女・弓子(松嶋菜々子)が糸を引いているのか。不気味な雰囲気を漂わす松嶋さんは『家政婦のミタ』を彷彿とさせる演技力。息を殺して見つめてしまう展開に。

 と、このドラマの魅力はたしかに「サスペンス」の要素にある。でも、それ以外にもう一つ、魅力があるのではないでしょうか? それは、「家」という要素そのものでは?

「家」。ひとつひとつの「箱」の中で息をしていると、似ているようでいてそれぞれ、個性が生まれ、世帯ごとに違いが出てくるのかもしれません。だからこそ、「他人の暮らしている家の中を覗いてみたい」。私たちは本能ともいえるような、そんな熱い好奇心を密かに持っていないでしょうか?

 例えば50階建て超高層マンションの暮らしって、ホントはどんな感じ? どんな間取りでどんな世帯? 使っている食器は? トイレマットの柄は? リビングから下の街はどう見える? 妻と夫の会話は? ご近所は本当にセレブ……?

「家」というものは大半の人にとって、人生で最も大きな買い物であり関心事。思い起こせば、前クールの北川景子主演『家売るオンナ』(日本テレビ系)も不動産ドラマの傑作でした。

 買い手、売り手の人間模様。家族構成、抱えている事情、価値観も経済状況も多種多様。だから、毎回見応えのあるオムニバスドラマに仕上がっていました。

 一方、今放送中の『プリンセス・メゾン』(NHKBSプレミアム 火曜午後11時15分)も、興味深いドラマです。森川葵が演じる「沼ちゃん」こと沼越幸は、居酒屋で働く20代後半の独身女性。性格は地味でマイペース。コツコツ貯金し「自分の家」を手に入れるのが夢。物件探しに奔走する沼ちゃんはタワマンから中古まで、いろいろなタイプのマンションを見て歩く。居住者に会って話を聞く。

関連記事

トピックス

勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン