デモについてはリベラル派は完全にダブルスタンダードになっている。「アラブの春」は民主化運動の代表例ではあるが、この時の解釈は「ついにアフリカ・中東でも民主主義を求める市民の思いが噴出した」とある。これは正しい解釈である。ならば、今回の韓国のデモも同様に解釈すべきなのだ。
それなのに「羨ましい」「すごい」と絶賛し、そこから「それにひきかえ日本は……」と日本批判に繋げる。要するに安倍政権が独裁政権で、国民はそこに飼い慣らされて黙り込んでいると言いたいわけだ。さらには今回朴氏を操る崔順実被告の存在が明らかになったが、これをリベラル派の皆さまは「韓国のマスコミと検察は機能している」と言い放つ。
いえいえ、ここまで放置していたマスコミと検察が機能しているわけないでしょ……と考えるべきだが、ネットの一部ではとかく韓国についてはホメたがる勢力が存在する。
彼らが、正直なぜここまで韓国を礼賛するのかがよくわからないのだ。韓国は羨ましがるほどの国なのか。「ヘル朝鮮」という言葉が韓国の若者の間でちょっとしたブームになったというが、超学歴社会でありながらコネが幅を利かせ、大財閥が国の経済の実権を握る遅れた民主主義国家である。若者が不満を持つ気持ちはわかる。
しかしながら、日本のリベラルはなぜかここでツイッターで「#ヘル日本」というハッシュタグをつけて日本批判を展開する。う~ん、皆さん、韓国に移住すれば?
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2016年12月9日号