「人間はみんな、自分がいちばんかわいいんです。結婚生活や家族だけじゃなくて、政治や国単位でも、損をしたくないという考えが強くなって、どんどんつまらなくなっている。今って、とりあえず、困ったらパソコンに聞いたら助けてくれる。

 でも、そうやって人と交わらないことで、人との縁を逃してしまうかもしれないし、どんどん怠惰になり、つまらない世の中になっていく。結婚でもなんでも、厄介ごとと向き合うっていうのは、今、こんな世の中だからこそ必要なことなのかもしれない」

『永い言い訳』では、妻と一緒に亡くなった親友の子供を幸夫が、わが子のように面倒を見るようになる様子も描かれる。上の男の子の塾の送り迎えをしたり勉強を見て、下の女の子とは夕飯作り。それが子供を持たない選択を夫婦でしたものの、本音では子供が欲しかったのかもしれぬ亡き妻への「免罪符」かのように。

「仕事でも家族でも、何かのために生きなければいけないという理由があれば、そこに自分の存在意義を見出して、生きることが少し楽になると思います。夫のためでも、子供のためでも。自分ひとりだけのためじゃないと思わせてくれる幸福がありますよね。

 結婚していたら、家に帰った時に何かしらドラマが起こりますからね。夫婦げんかもあれば、いいことも悲しいこともありますけど、他人がいることで何かが起きるのって素晴らしいことだと思います」(西川さん)

※女性セブン2016年12月8日号

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