ライフ

予測罹患率1位の前立腺がん 治療には年齢と進行度考慮を

東京慈恵会医科大学附属病院泌尿器科の頴川晋主任教授

 前立腺は膀胱の下、直腸の前にあり、精液の一部を作っている。前立腺がんは、日本人男性の2015年予測がん罹患率の1位だが、死亡率は他のがんに比べてかなり低い。1980年代は、転移がある進行がんとして見つかる例が約60%もあったが、現在はPSA検査の普及のおかげで、早期発見が可能になった。

 PSAというのは、前立腺から精液中に分泌されるたんぱく質分解酵素で、がんになると大量に血液中に混じり、血中のPSA数値が高くなる。この現象を腫瘍マーカーとして利用したのがPSA検査だ。

『前立腺がんは怖くない』の著者で、東京慈恵会医科大学附属病院泌尿器科の頴川晋(えがわしん)主任教授に話を聞いた。

「前立腺がんは、進行がゆっくりしているので、見つかっても慌てる必要はありません。ベストの治療法は、前立腺内にがんが留まっている限局がんか、周囲の組織に浸潤(しんじゅん)している局所進行がん、あるいは転移進行がんかにより違います。特に早期の限局がんでしたら、さまざまな治療法が可能となります」

 主な前立腺がん治療は、内分泌治療、放射線治療、手術治療、PSA監視療法の4つだ。前立腺がんの約90%は、男性ホルモンの影響で進行が早まるため、内分泌治療は男性ホルモンの作用を抑える薬剤を用いる。男性ホルモンの低下により、女性の更年期障害に似た症状が出る副作用もある。

 放射線治療は「(組織)内照射(しょうしゃ)」と「外照射」にわけられる。内照射は、放射線を出す小さなカプセル状のものを前立腺に埋め込むか、前立腺に留置したチューブに線源を挿入して治療する。外照射は、体外から前立腺に向け放射線を当てる治療だ。正常細胞への被曝を抑えるために様々な方法が開発されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン