その他は、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)にベックさん、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)に三代目J Soul BrothersのNAOTOさんが起用されていますが、そのポジションは「ベッキーさんの代役」ではなく、「出演者全体を見た上での追加キャスト」という意味合いが強そうです。
さらに、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『ありえへん∞世界』(テレビ東京系)は追加キャストすらなし。それでも番組の構成はほとんど変わらず、魅力を損なうことなく放送されています。
つまり、ベッキーさんは「番組に欠かせない絶対的なポジションを担っていた」のではなく、「番組の好感度アップを目指すプラスアルファの存在だった」ということ。思えば1980年代は、男女を問わず大半のタレントが“いい子ちゃん”キャラでした。特に女性タレントは優等生コメントをする人ばかりでしたが、時の流れとともに「面白くない」「嘘くさい」という声が強くなり、ベッキーさん以外はほとんどいなくなっていたのです。
希少性こそあるものの、「現在のテレビ番組で必要か?」と言われると、「どちらとも言えない」というのが本当のところ。私が取材した某局のプロデューサーは、「“いい子ちゃん”キャラというより、若年層と中高年層の支持が高いから起用されていたというのが一番の理由。それと、細かいリアクションが取れるから、収録後の編集で役に立つことが多かった」と言っていました。しかし、若年層と中高年層の支持を失い、リアクションは他のタレントを鍛えればいいため、急いでベッキーさんを復帰させなければいけない理由はないのです。
“ポスト・ベッキー”論争の答えは、「ベッキーさんと似た支持層とスキルを併せ持つタレントがいない上に、現場もそれほど求めているわけではなかった」ということ。そもそも“ポスト・ベッキー”という発想そのものが、芸能マスコミと一般人の書き込みが作り上げたものだったのです。
しかし、ベッキーさんに「テレビ番組での居場所がない」というわけではありません。私はベッキーさんに4度取材したことがありますが、彼女の“言葉を選びながら発信する力”は特筆すべきものがありました。質問に対する返事は、そのまま見出しになるようなものが多く、すぐに浮かばないときも言葉をつなぎながら自分なりのコメントを導き出せるのです。