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降圧剤は認知症を予防するのか、招くか どっちが正しい

降圧剤と認知症の関係は?(イメージ)

 降圧剤は認知症を予防するのか、むしろその“原因”となるのか──高血圧患者の目の前には、相反する2つの説が並存してきた。いったいどちらが正しいのか、徹底検証した。

 まずこの議論を理解するには、高血圧の進行サイクルを知る必要がある。高血圧の状態が続くと、血液の圧力に耐えるために動脈の血管壁が厚くなる。狭くなった血管は弾力を失って硬くなり、動脈硬化が起こる。そこに血液を流そうとして血圧がまた上がり、さらに血管が狭くなる──という負の循環だ。

 そのサイクルが認知症の約3割を占める脳血管性認知症と呼ばれる疾患につながっていくという。日本脳ドック学会理事長で小林病院名誉院長の小林祥泰氏はこう説明する。

「高血圧を放置すると脳の血管が動脈硬化で狭くなり、脳梗塞のリスクが高くなります。脳血管が詰まってしまうと、その先に酸素などが行き渡らず脳細胞が死んでしまう。その結果として起きるのが脳血管性認知症です。

 降圧剤を飲んで血圧がコントロールできれば、脳梗塞リスクが下がり、その先にある認知症の予防にもつながるということです。

 降圧剤のなかでも、たとえばARBと呼ばれる薬剤は血管を収縮させる物質のはたらきを阻害します。このARBを服用していた人では、認知症の発症が少なかったとする研究結果があり、薬によって脳血流が改善されたことが背景にあると考えられます」

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