年末になるとテレビなどで「交響曲第九番」を聴く機会が増える。オーケストラを見ていると、「あんなにたくさんの人が練習すのは大変だろうなあ」と素朴な疑問を抱いてしまうが、実際にはどうなのだろうか。
実は、指揮者や演奏曲が決まるのは演奏会の約2年~半年前で、誰が出演するか決まるのは3か月前。読売日本交響楽団(以降、読響)制作部主任の大久保広晴さんはこう話す。
「出演が決定、曲が決まると1~2か月前に楽譜を受け取り各自で練習を始めます。楽団員が全員そろって練習するのは多くて本番前の4日間。1日という場合もあります」
同じ曲でも指揮者によりテンポや解釈が違い、それを平均2~3日で吸収、本番では見事なハーモニーを作り出すのだ。では、もしも、演奏会当日に団員が病気になってしまったらどうするのだろうか。
「急病などの場合は代役を立てますが、驚くほど病気で休む人は少なく、ほぼゼロといっていいほどです。やはり本番勝負。体調管理も万全にしているようです。それに、当日はもちろん、全員練習の日も、1~2時間前に会場についている人が多いため、電車が遅れようと、遅刻する人はいません」(大久保さん)
読響で18年間、コンサートマスターを務める小森谷巧さんも、公演を病気で休んだことはなく、普段からお酒は飲んでも3杯まで。朝食は野菜中心で月4~5回ジムに通うなど、体調管理をしているという。
「ただし、バイオリンの職業病は肩こり。首を曲げた姿勢のままで演奏するので、整体にはよく行っています」(小森谷さん)
そんな小森谷さんも出演する『読売日本交響楽団「第九」特別演奏会』は、東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)で12月26日に開催される。
※女性セブン2017年1月5・12日号