国際情報

豪華絢爛の館 独裁者たちの「儚き宮殿」7選

エルドアン大統領が建設強行したトルコ大統領宮殿 Abaca/AFLO

 自らの権威を見せつけるために独裁者たちは巨大な「宮殿」を建設した。ここでは7つの事例を紹介しよう。

【トルコ大統領宮殿(アンカラ)】──裁判所命令を無視し建設したタイイップ・エルドアン大統領御殿

 エルドアン大統領は2014年に就任すると、それまでの公邸に「ゴキブリが出る」という理由で首都アンカラ郊外に新公邸を建設。建設費約772億円。1150室ある宮殿は「黄金の便座」まであると野党から非難され、大統領は誹謗中傷だと野党党首を訴える騒動に発展した。黄金の便座の真相は藪の中だ。

 裁判所命令に反し環境保護地域に強行して建設された宮殿は「独裁の象徴」と批判を受けた。東京ドーム4個分以上の敷地に建ち、維持費は毎月5400万円かかるとも言われる。

【ルーマニア・チャウシェスク大統領公邸(ブカレスト)】──黄金のバスルームを生んだ恐怖政治部屋数3000室以上

 公邸「プリマベリイ・パレス」(国民の館)は1960年代にチェウシェスク夫妻の指示で建設。建築物としては米ペンタゴンに次ぎ世界2位の規模を誇る。恐怖政治の裏で自らは地下シェルターや映画館まで完備した宮殿で暮らした。1989年の政権崩壊から26年を経た今年3月、一般公開されることになった。公開されたチャウシェスク邸では大統領夫妻の遺留品も公開された。贅の限りをつくした豪邸には黄金でしつらえた部屋も数多くあった。

 チャウシェスク大統領と並び、妻エレナも大量虐殺などの罪で処刑された。

【ソ連・スターリンの別荘(ロシア・ソチ)】──暗殺を恐れた独裁者は地下に秘密部屋を作った

虐殺者数2300万人といわれるスターリン。リウマチに悩むスターリンが黒海沿岸のソチを一大保養地として整備し、1937年に別荘を建設、1953年に死去するまで生活した。一見質素だが、暗殺を恐れた独裁者は地下17mに防空壕を作っていた。現在は宿泊可能なミニホテルと博物館になっている。ソチには現在プーチン大統領の別荘もある。

【リビア・カダフィ家別荘(トリポリ)】──豪邸のプールに政権崩壊を告げる銃声
 
 石油による富を収奪して築き上げた別荘地にはスーパーマーケットやダイビング場、テニスコート、サッカー場、レストラン、クリニックまであった。カダフィ大佐は1969年のリビア革命から約40年間独裁政権を維持したが2011年のリビア内戦で反体制派に殺害されたとされる。その後、邸宅や別荘は反体制派により荒らされ占拠された。

死亡時には血塗れの死体を取り囲んで歓声を上げる民兵の映像が世界に流れた。 40年の独裁が終わり、民衆は独裁者の占有した15兆円といわれる富を分かちあった。

関連キーワード

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン