しかし、油断は禁物。現職時代の高評価が退陣後もそのまま続くとは限らない。「自民党をぶっ壊す」と郵政民営化を推進した小泉純一郎氏は、現職時代は高い支持率と長期政権を保った。
「既得権益と真正面から戦った」(渡邉美樹・自民党参院議員)
「信念を持ってどんな逆風でもやりぬく。政界を引退した今も原発について『間違っている』といい続けている」(伊藤公介・元自民党代議士)
と支持する声もあったが、2人に留まった。
小泉退陣後、自民党では郵政民営化に反対して離党させられた造反組が次々に復党して小泉改革路線の揺り戻しが起きた。安倍政権下で自民党から小泉支持派が“消えた”ことが原因かもしれない。
他の自民党の総理経験者では、安倍首相が目標とする祖父の岸信介氏、大叔父で戦後最長の首相在任記録を持つ佐藤栄作氏、「所得倍増計画」で高度経済成長の立役者となった池田勇人氏らの名前があがった。
安倍首相は首相在任期間では中曽根氏を抜いて現在戦後4位だ。自民党の総裁任期が延長され、総裁選で3選すれば佐藤氏を抜いて戦後記録を塗り替える超長期政権も視野に入ってきた。
しかし、在任期間の長さは、総理としての評価には直結していないことがアンケートからもわかる。
安倍氏が歴史に名を残そうとするのであれば、どんな業績が長く歴史の評価に耐えうるのかを知るべきではないか。
※週刊ポスト2017年1月13・20日号