塩といえば、海水から作られると思いがちだが、これは島国・日本らしい考え方。世界で生産される塩の約3分の2は、実は岩塩が原料だ。塩の原料は「海水」「海塩」「岩塩」「湖塩」「温泉水」に分けられ、海水を天日蒸発させて作られた塩は特に「天日塩」と呼ばれる。日本には岩塩を採掘できる岩塩鉱がないこともあり、日本で作られる塩は、「海水」を原料にしているものや、海外で作られた「天日塩」を原料にしているものが多い。
◆せっけんやガラス作りでも活躍
1年間に日本で使われる塩の量は約800万トンだが、食用はそのうち約1割。実は塩のほとんどが、工業用、医薬用、路面凍結予防など、衣食住全般に使われており、塩なくしては現在の文明生活は成り立たない。
◆塩の感じ方は量だけでなく粒の大きさでも変わる
「塩の感じ方は、量だけでなくいろいろな要因が関係しています。にがり(塩化マグネシウム)などの成分量も関係しますが、結晶の粒の大きさも影響します。粒の大きさが違うと、口の中で溶けるまでに時間差が生じるので、それが味の感じ方の違いになるのです」(原さん)
塩の結晶の形は、塩が作られる環境や条件によって違う。フレーク状やピラミッド状、サイコロ状などさまざまな形や大きさがある。実際に味の違いを試してみると、粒が小さいサイコロ状の塩はすぐに溶けるので、しょっぱさがすぐに感じられる。一方、フレーク状やピラミッド状など、粒が大きい結晶はゆっくり溶けるため、塩気が穏やかに感じられる。
ただしこれは、直接なめた時に感じる違い。料理に入れるなどして溶けてしまうと、粒の大きさによる味の違いはわかりにくくなる。
※女性セブン2017年1月26日号