ビジネス

マタハラ防止強化の法改正 職場が「恐怖症」に陥る懸念も

マタハラ防止に社内コミュニケーションは不可欠(写真アフロ)

 妊娠や出産を理由に、職場の上司や同僚から嫌がらせを受けるマタニティー・ハラスメント、いわゆるマタハラ被害が社会問題になっているが、今年1月よりマタハラ防止を強化する法改正が施行された。

「改正育児・介護休業法」と「改正男女雇用機会均等法」がそれだ。まず企業(事業主)には、妊娠や出産、育児・介護休業の取得に伴う嫌がらせの防止対策が義務付けられた。そのうえ、派遣労働者についても派遣先企業を事業主と見なし、対策義務の周知徹底を掲げている。

 また、改正育児・介護休業法では非正規労働者が育児休業(育休)を取りやすくしたのもポイントだ。

 これまでは、(1)勤続1年以上(2)子が1歳になった後も雇用継続の見込みがある(3)2歳になるまでに契約が更新されないことが明確でない──の3条件を満たす必要があったが、改正後は(2)と(3)が廃止され、子が1歳半になるまでに更新されないことが明確でない限り育休を認めることが新たに加わった。

 もちろん、派遣社員やパートなどを含めた有期労働契約者の育休取得条件のハードルが下がったことは喜ばしいことだが、実際には育休の取りやすさはあまり変わらないと指摘する声もある。

 社会保険労務士の稲毛由佳さんがいう。

「会社と有期労働契約を結んで働いている人の中で圧倒的に多いのは、契約更新の有無を明確に示されず、『更新する場合もある』とグレーにしているケースです。この場合は法改正にかかわらず、育休は取れることが多い。

 妊娠が分かった途端に会社から『更新しない』と言われたら取得できないと思うかもしれませんが、いまは妊娠や出産、育児を理由とした不利益取り扱いは禁止されているので、会社もあからさまに雇い止めをすることはできません」

 それでも出産を機に、泣く泣く会社を辞める女性が後を絶たないと稲毛さんはいう。一体なぜなのか。

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
不夜城・新宿にはホストクラブも多い(イメージ)
《悪質ホストクラブ対策でも変わらぬ”悪質実態”》紹介店舗で働いていた女性が激白「違法サービス提供を”儲かるならやるべき”と強く言われた」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン