もっとも、日本側の強硬姿勢は韓国には響かない。それどころか韓国のネット上では、「自分の国に先祖の銅像建てるのに、なんで日本があれこれ言うのか」「まだ韓国を自分たちの植民地だと思ってるのか」と、日本の対応を非難する声が圧倒的だ。
辞任を表明した朴槿恵大統領の後釜を狙う次期大統領候補たちも、その声に乗っかっている。
最大野党「共に民主党」の候補者で、各紙の世論調査で支持率1位の座にいる文在寅氏は、「日韓合意は無効」と主張し、同様に野党候補者はみな再交渉や再検討を公約に掲げている。保守派の潘基文・前国連事務総長も、当初は日韓合意を評価していたが、世論に押されて「再協議する」と言い出す始末だ。
かくして日本政府が10億円を費やした「最終かつ不可逆的な」決着は、あっさり反故にされようとしている。
※週刊ポスト2017年1月27日号