「同じ世代だと、みんな病気のことだの誰かの悪口だのってなってくるんです。もう子供も独立してるし、夫もいない気楽な身だから、そういう面倒なつきあいはいいかなってやめちゃいました。
でもK-POPコンサートで知り合った40才年下の友達のことは、親友といえるんじゃないかしら。娘より若いですけどね(笑い)。ただただ好きなスターの話をして、おいしいものを一緒に食べるだけ。楽しいことを共有できる友達がいれば、それがたとえ1人だとしてもそれでもいいかなって」(坂本さん)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さんが続ける。
「人間は成熟してくると人を見る目が肥えてくるので、年齢や置かれている環境などは関係なしに寄り添えるようになります。自分の話を聞いてもらいたければ、相手の話を一生懸命聞く。嫌われているんじゃないかと思ったら、より相手を好きになる。そういう度量の広さで人とつきあえるようになっていくんです」
その上で前野さんは、「いちばん幸せなのは、トータルで友達の数が多い人。いちばん不幸なのは嫌な人に囲まれて生きる人」と強調する。
「もし人間関係ががんじがらめになっているというのなら、“切る”という荒療治も選択肢のひとつかもしれません。けれど切ったらそのままにしないで、新しい友達を作るべき。孤独は幸せに比例しませんから。しかし“友達”という言葉に縛られなくてもいいので、つながりを意識していただければ。近所の人で挨拶する程度でもいいんです。
以前に行った調査では、大家族で暮らすのと一人暮らしとでは、幸福度に差はありませんでした。
ただ、年に1度、正月に1回挨拶をするとか年賀状のやりとりをするくらいの親戚の数が多いほど幸せだということがわかりました。だから“切る”よりも、ぎりぎり切らないで、年賀状を出しておくほうをお勧めしたいですね」(前野さん)
※女性セブン2017年2月2日号