●甲斐姫(1572~没年不詳)
 白馬に跨がり敵陣に切り込む絶世の美女。武色兼備を認められて天下人の妻になったのが甲斐姫だ。

「文献では絶世の美女だったとされ、秀吉に側室として召しあげられた女性です」(小和田氏)

 北条氏政の家臣だった父・成田氏長は男児に恵まれなかったため、甲斐姫に兵法・武術を仕込んだ。背も高く、大人びていたため、家臣らは「男子なら一代の栄華を極める成田家の家宝となったものを……」と囁き合ったとされる。

 天正18年(1590年)、秀吉の関東攻略への対処で、父・氏長が小田原城に籠城するにあたり、甲斐姫は居城である忍城の留守を任された。

 秀吉配下の石田三成が2万3000の兵を率いて城に迫る。一方、忍城の兵力はわずか300。甲斐姫は籠城して機をうかがい、たった200余騎を率いて出陣した。鎧をまとい、家伝の名刀「波切」を片手に白馬にまたがって敵陣に斬り込み、三成を撃退したのだ。これ以降三成には「戦下手」の評価がつきまとった。

 後に、家臣が謀反を起こし、氏長の妻らを殺害する事件が起きた際には、激怒した甲斐姫は10数人足らずの兵で反撃に転じ、謀反者を生け捕って磔のうえ斬首にした。この武勇伝で秀吉に気に入られ、甲斐姫は側室として迎えられた。

※週刊ポスト2017年2月3日号

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