ペット愛好家が賃貸物件を探す際、何よりもまず確認するのが「ペット可」であるかどうか。しかし、なかには「ペット可」であることを理由に住んでいたマンションが、急に「ペット不可」になってしまうこともあるという。静岡県のペット愛好家から、こんなお悩みが届いた。
「ペットの飼育OKという点が気に入り、今の賃貸マンションに住んで8年。ところが先日、マンションのオーナーが代わって管理規約が変更となり、1年後にペットの飼育が禁止になるとの連絡が。このまま住み続けてはいけないのでしょうか?」(静岡県・マロンさん、36才・自営業)
そんなお悩みに対して、ペットに関する事件・トラブルなども取り扱う弁護士でペット法学会理事の杉村亜紀子さんが、解決策を教えてくれた。
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マンションでのペット飼育のトラブルは多いようです。そもそも、分譲マンションには、住民が快適に過ごせるよう権利や義務、規則などを示した管理規約があり、“区分所有者(部屋の所有者)”である貸主は、その管理規約に従わなければいけません。
マロンさんのようにマンションを借りている借主は、区分所有者ではありませんが、「占有者」として、大家や貸主と同じく管理規約を守らなければいけません。
過去に、ペット飼育禁止のマンションで犬を飼い続けた飼い主に対する犬の飼育禁止が認められた裁判例もあります。規約を守らなければ罰を受けることもあるのです。
◆マンションの管理規約は変わる場合がある!
「ペット飼育可」を理由にマンションを購入しても、のちに飼育不可になるケースは多々あります。
とはいえ、管理規約を変更する場合、区分所有者の4分の3以上の賛成が必要になります。逆にいうと、4分の3の賛成があれば、管理規約を変更しても合法になるので、「8年前と約束が違う」と不満に思っても、管理会社や管理組合などに補償を請求することはできないのです。
◆特別な規定がないか確認してみて!
ただし、マンションの管理規約が“ペット飼育禁止”になったからといって、すぐにペットが飼えなくなるとは限りません。
マンションによっては管理規約をペット飼育禁止に変更する際に、“一代限りのペットの飼育を許可する”などの規定を設けているところもあります。
実際、ペット飼育禁止になったマンションではこんなケースも。マンション内でペットを飼育している戸数が多かったことを考慮し、今飼っているペットが亡くなるまでは飼育を許可するので、次の子は迎えないようにという貼り紙を掲示板に貼り、住民の理解を求めたというものです。
管理規約が変わり、引っ越しやペットの譲渡を考える前に、まずは、規約の詳細を確認しましょう。
また、最初から飼育不可のマンションでペットを飼育するのは言語道断。ペットと一生、安心して暮らせる環境をつくってあげましょう。
※女性セブン2017年2月2日号