日本経済への評価高は、国内金融機関の“身びいき”ではなく、むしろ海外の投資機関のほうが高い。世界有数の投資銀行クレディ・スイスが毎年末に世界の「家計の富」(金融資産と不動産)についてまとめている「グローバル・ウェルス・レポート」の2016年度版に興味深いデータがある。
〈日本のミリオネア(資産100万ドル以上)の数は15年の208.8万人から16年に282.6万人に増加。世界2位を維持〉
〈今後5年間で、日本の富は15%増加して28兆ドルに、ミリオネアの数は27%増加して360.2万人に達すると予想〉
クレディ・スイス証券の松本聡一郎・CIOジャパンはこう説明する。
「日本には資産100万ドル(約1億円)前後の層が多い。2016年のミリオネアの急増は主に年央に為替が円高になり、ドル換算で資産が増えたのが理由ですが、5年後の将来予想には為替は考慮されていない。日本は今後も経済成長し、株価も不動産価格も上昇して資産(富)が15%増加するという分析です」
日本市場では「ゴールデンクロス」と呼ばれるチャート分析が関心を集めている。これは日経平均株価の52週移動平均線を、26週移動平均線が下から上にクロスする現象だ。それが去年末に出現した。
前回はアベノミクス開始直後の2013年1月に出現し、日経平均は約1万円から4か月間で4000円以上急騰、2015年8月に2万800円まで上昇する大相場の始まりとなった。今回はそれ以上で、ゴールデンクロスの出現を紹介した三菱UFJモルガン・スタンレー証券のレポートでは、今年4~6月にバブル後最高値の2万2750円(1996年)を超え、2万3000円台になる可能性を指摘している。天野秀夫・日本証券新聞社長が語る。
「今の株高はメガバンクと重厚長大の大型株が相場を引っぱっているから底堅い。為替は円安の水準で比較的安定し、政権も安定している。他の市場を見ると、韓国経済はつまずき、中国も不安定、日本市場がアジアで最も安定しているのは間違いない。資金は日本を目指す。レポートの予測通り、春先にはバブル後最高値をつけてもおかしくない」
※週刊ポスト2017年2月3日号