そして日本のインバウンドの生命線でもある「飲食」というコンテンツは、まさしく体験型の「コト消費」そのものだ。
「訪日外国人消費動向調査」の2015年の確報値から「もっとも満足した飲食についての理由」を詳細に見ると「美味しい」と「品質が良い」の合計が寿司、ラーメン、そば・うどん、肉料理などで90ポイント近いスコアに。魚料理に至っては90.7ポイントという高い支持を集めている。
そもそも外国人旅行客の7割が【訪日前に期待していたこと】に「日本食を食べること」を挙げているのだから、【満足した理由】に「美味しい」「品質が良い」のは当然という見方もあるかもしれない。だが特に欧米では「ラーメン1杯2000円」という店も珍しくない。それほど外食費が高い。なのにこの調査で「価格が手頃・自国より安い」という選択肢はどの食べ物でも3%以下しか選ばれでいない。それほど日本食の「美味しい」「品質が良い」は評価されているのだ。
最近は大都市以外でも外国人観光客の姿を見かけることが増えた。当初「爆買い」などモノ消費に熱心だった外国人旅行者の足もコト消費に向いている。だが、肝心の日本人は、せっかくのハレの日の食事も「コスパコスパ……」とつぶやいている。外国人観光客を誘致しようとするなら、その前に日本人自身がコト消費を満喫することが必要なはずなのだ。