◆3月に内閣を大粛清か
頼りないのは2人だけではない。トランプ大統領のTPP(環太平洋経済連携協定)離脱表明で、日本は自動車に加えて農業分野でも米国と新たな2国間交渉を迫られるが、担当の山本有二・農水相は失言続きで党内からも“大臣失格”の声が上がっている。松野博一・文科相は天下り問題で火だるま状態。さらに、金田勝年・法相も「共謀罪」の説明文書問題(※注)で、野党に辞任要求を突きつけられている。
【※注/「共謀罪」の構成要件を厳しくする「テロ等準備罪」について、2月6日に法務省が「法案提出後に議論すべきだ」との文書を発表。すでに予算委でも議論が始まっており、民進党は「(文書は)質問封じだ」と反発。法相が謝罪、撤回した】
岸田文雄・外相に至っては日朝交渉から対ロシア外交、米国大統領選の読み違いまで失態続きだ。政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。
「これまで安倍政権は大臣の能力が低くても、役所のサポートを受けて乗り切ることができた。しかし、国際情勢が大きく変わるときは役所には対応できないから、政治家個人の実力がものをいう。安倍首相が能力主義ではなく、お友だち人事で大臣を選んだがためにいざというときに頼りになる大臣がいない」
自民党内では、業を煮やした安倍首相が3月の予算成立後に“粛清内閣改造”に踏み切るのではないかとの見方も急浮上している。もっとも、外交でも経済でも、各大臣以上に前のめりになっていたのは安倍首相自身なのだが。
※週刊ポスト2017年2月24日号