芸能

斉藤由貴の毒親ぶりが怖いオカムス 女性が共感する理由

番組公式HPより

 これほど男女で印象の異なる作品も珍しいといえるかもしれない。略して「オカムス」。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 怖すぎる。怖いからこそ、目が離せない。「母の呪縛から逃れようとする娘。暴走していく母」。2人の姿を描き出す『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK金曜22時)。今期の冬ドラマの中で、「一番の問題作」「社会派」と言ってもよいのではないでしょうか?

 ただし、女性視聴者にとっては。

 男性の視聴者に感想を聞くと「ちんぷんかんぷん」「何が面白いのかポイントがわからない」と、とまどいの声も。 それに対して、女性視聴者からは圧倒的な反響、数々の「驚き」「共感」コメントが。

「知人にドラマと同じような母娘がいます。ドラマの中だけの話とはとても思えない」
「母親に精神的に囲い込まれ、なかなか本当の気持ちを出せない娘の気持ちが、痛いほどよく分かる」
「仲良し母娘が周りに多いんだけど、ドラマのようなリスクを感じて見入ってしまう」

 とても絵空事ではない、とリアルに感じている女性視聴者が多い。社会を映す鏡のように鑑賞している。その意味で、「社会派ドラマ」と呼びたいのです。

 主要な登場人物は3人。高校教師の早瀬美月(波瑠)と、母の顕子(斉藤由貴)。そして早瀬家の新築現場で働く、工務店現場監督の松島太一(柳楽優弥)。 

 美月と顕子は仲の良い親子。娘は母の気持ちを推し測りながら、母の望むような人生を歩んできた。「私はママの夢を継いで教師になった」「いつだってママが応援してくれる」「困ったことがあればすぐ相談に乗ってくれる」。お互い精神的に頼っている。もっと言えば「癒着」している。

 しかし、美月はママに言えないことがある──必要以上に自分に介入してくる母へのストレスから、十円ハゲができていること。

 美月が松島とデートした時。母は遠くから見張るように観察し、2人の後をつけ始める。その暴走的なエネルギーが怖い。そしてとうとう、娘に「ママと松島さんとどっちが大事なの?」と迫って……。

 ただのフィクション、家庭ドラマに過ぎないと笑って見過ごせない。いわば、愛情に見せかけた精神的暴力。人格破壊。洗脳。「娘を愛しているのだから」と愛情のせいにする母。無自覚な分だけ、怖い。美月の十円ハゲが示しているのは、深く複雑な親子関係の葛藤です。

 周囲にもいます。娘のことを別人格と言いつつ、大学進学、就職、結婚、子育てと、こと細かに関わってしまう母が。娘を自分の思うようにしたい。どこか自分の属性としてとらえ無自覚に娘を支配していく母。娘が自分の考えと違うことを口にすると攻撃的になる母が。

関連記事

トピックス

17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
本誌『週刊ポスト』の高利貸しトラブルの報道を受けて取材に応じる中条きよし氏(右)と藤田文武・維新幹事長(時事通信フォト)
高利貸し疑惑の中条きよし・参議院議員“うその上塗り”の数々 擁立した日本維新の会の“我関せず”の姿勢は許されない
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン