◆『永遠の0』は5回観た
──あなたは日本会議の活動もされている。当然、安倍首相の支持者ですよね。
「それは当たり前ですよ。日本国をしっかり引っ張っていくのは安倍さんしかいないと思っていましたから。安倍さんは日本の国柄のことをよく認識されていると思います。純粋に我が国のことと、皇室のことを考えてらっしゃる」
ここで夫人が口を挟んだ。
「安倍総理は、偽物と本物をきちんと見分けることができるんです。うちの園長先生(籠池氏)は清廉潔白」
籠池氏は夫人の話を引き取ってこう話す。
「清廉潔白の人間は、相手が清廉潔白だとわかる。私の周りは天下国家を考えている人が集まるんですが、それは安倍さんも同じ。安倍さんとは共鳴する部分があるんです。一方、悪人の周りには悪人が集まる」
おもむろに夫人が、籠池氏の携帯電話の画面をチラッと見せる。何と「安倍晋三の携帯電話番号」だという(本物かどうかは確認できなかった)。親しさを証明したかったのかもしれない。さらに夫人が話を被せる。
「園長は清廉潔白で清貧ですよ。背広だって私が買ってくるのを着るだけ。ATMだって使ったことがないし、(クレジット)カードも持ったことがない。それこそコンビニでチョコ買うくらいしかお金を使わない。あっ、でも『永遠の0(※注)』は5回も観ましたけどね」
【※注:安倍首相と親交が深いことで知られる作家・百田尚樹氏の小説『永遠の0』の映画版】
その後も2人からは日本会議の活動と安倍政権の礼讃があふれるばかりだった。この払い下げ問題について、『日本会議の研究』の著者・菅野完氏が指摘する。
「日本会議は基本的に言論ネットワークであって、利権で結びついている組織ではない。それだけに、幹部が日本会議の理念に沿った学校を建設するため、安倍首相夫人を看板に国有地の払い下げや学校設置認可を得ていたのは非常に驚きです。今後、こうした例が他に出てこないかチェックしていく必要があります」
取引の核心についてははぐらかされるばかりだったが、少なくとも「安倍首相の熱烈な支持者」の“実相”に触れることができたことがインタビューの収穫だったと思いたい。
※週刊ポスト2017年3月3日号