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中学受験 難関私立より公立中高一貫校、という選択

◆私立中学と併願する受験生の多い学校、少ない学校

 公立中高一貫校のスタート時は、落ちたら地元の公立中学校に進学する人が多かったが、
2年、3年と塾に通って準備をして受けると、それを無駄にしたくないということで私立中学校も併願する人が増えてきている。

 逆に、私立中学を本命として勉強してきたが公立中高一貫校も受ける人もあり、おおよそ公立中高一貫校受検者(適性検査を受けるということで、公立中高一貫校の場合は「検」を使う)の25%くらいが私立中学も受けているとみられる。

 東京都教育委員会は、都立10校について、試験当日の欠席者数、合格発表後の辞退者数を公表しているので、それを見てみよう。

 10校平均の欠席率は4.1%。学校別では都立小石川中等教育が7.8%、都立武蔵高校附属が6.7%と高くなっている。10校全体の辞退者数は合計87人(男子33人、女子54人)で、都立10校がそろった2010年度以降では2番目に少なかった。

 このうち男子の3分の1(11人)、女子の半数近く(26人)が都立小石川中等教育の辞退者。同校は男女計37人と、過去最多の辞退者を出した。次いで都立桜修館中等教育が12人、都立両国高校附属が11人となっている。逆に都立富士高校附属は、辞退者が男女ともにゼロだった。都立三鷹中等教育も2人、都立南多摩中等教育も3人と少なかった。こうしたところからも併願している私立中学のレベルの違いを見て取れる。

 私立中学側でも、公立中高一貫校は平均6倍にもなって不合格者が大勢出るので、受検者に併願してもらおうと「適性検査型入試」を行うところが年々増えている。

 特待生として合格すれば学費免除ということで、学費の点で私立中学をあきらめることがないようにしている。当初は実施校は東京の西部だけに限られていたが、いまでは3県にも広がり、2017年度入試では110校もが実施しているほどである。

◆志望者が減っても、難度が上昇しているのはなぜ?

 公立中高一貫校を選ぶ最大のメリットは言うまでもなく学費が安いこと。開成など難関校、有名大学付属校を蹴って進学する人が毎年結構いるのもこれが一番大きいだろう。

 それに加えて各校それぞれに工夫を凝らしたレベルの高い教育を行っていることが挙げられる。国がグロ-バル人材養成のために始めたSGH(スーパーグローバルハイスクール)にも、横浜市立横浜サイエンスフロンティア、横浜市立南が選ばれている。

 特色のある教育を行っている学校も多い。例えば、都立桜修館中等教育では高2で5000字程度の研究論文を書かせ、高3ではそれを英訳させている。また、海外研修というと私立中高一貫校のイメージだが、公立中高一貫校でも都立小石川中等教育、都立両国高校附属などは実施していて、この点での私立との差はなくなっている。

 次にあまり知られていないが、実は大学合格実績がスゴイ。2010年に開校した都立大泉高校附属、都立富士高校附属、都立三鷹中等教育、都立南多摩中等教育の4校すべてが2016年春の第1期生で東大合格者を出したのだ(富士が2名のほか、他は1名。このほか大泉が京大2名、三鷹が京大1名)。卒業生数が少ないので絶対数ではあまり目立たないが、率ではすごいものがある。

 つい最近発表された2017年の東大の推薦入試、京大の特色入試、東工大の推薦入試においても、県立相模原中等教育が東大と東工大に、都立小石川中等教育が京大に、都立桜修館中等教育と横浜市立横浜サイエンスフロンティア(中高一貫の卒業生ではないが)が東工大に合格者を出している。こうした卒業生の進学実績も公立中高一貫校を選ぶ大きな理由となっている。

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