国内

中学受験 難関私立より公立中高一貫校、という選択

公立中高一貫校は志願者数が減っても狭き門に

 中学受験シーズンが終わり、今年も女優の芦田愛菜(12)が都内の名門私立中学に合格するなど大きな話題となったが、近年、中学受験において大きなシェアを占めるのは「公立中高一貫校」だ。中には難関私立中学や有名私立大学の付属校に受かっても公立中高一貫校を選ぶ家庭もある。

 安田教育研究所代表の安田理氏が、公立中高一貫校の「いま」をレポートする。

 * * *
 現在首都圏には年々増えて21校もの公立中高一貫校がある。東京が11校、神奈川が5校、千葉が3校、埼玉が2校である。また、公立中高一貫校には中等教育学校(高校募集がなく6年間同じメンバーで学ぶ)と高校募集がある併設型と呼ばれる学校がある(○○中学校とか○○高校附属という校名になっている)。

 公立中高一貫校の入試は、開校初年度は、小学校の学習範囲からしか出題されない「適性検査」(教科別の問題ではなく融合問題)ということで、ダメ元で大勢が受けるため(地元の小学校では全員が受けたなどというケースもあった)大変な倍率になる。それがきちんと準備しなければ受からないということがわかり、年々倍率が低下するのがふつうだ。

 終わったばかりの2017年度入試を見てみよう。もっとも倍率が高かったのは昨年開校した千葉県立東葛飾の12.0倍で、もっとも低かったのは川崎市立川崎の4.4倍である。因みに難関とされる都立小石川中等教育は6.4倍、千葉県立千葉9.6倍であった。

 前年より倍率が上昇したのは、東京の都立立川国際中等教育、都立富士高校附属、千代田区立九段中等教育、神奈川の県立相模原中等教育、県立平塚中等教育、千葉の千葉市立稲毛高校附属、埼玉の県立伊奈学園、さいたま市立浦和の8校で、他の12校は下がっている。

 このほか今年新設された横浜市立横浜サイエンスフロンティアが8.6倍となっている。
私立の難関中学は2~3倍のところが多いから、倍率が年々低下しているとはいえどこも大変な狭き門である。

◆公立中高一貫校 首都圏ではどこが人気? どこが難しい?

 公立中高一貫校の募集人員は80名から160名まで幅があるのでどこが人気があるとは一概には言えないが、今年応募者が1000名を超えたのが、県立相模原中等教育と横浜市立南、前年1000名を超えたのが、この2校に加えて都立桜修館中等教育、都立三鷹中等教育、都立小石川中等教育、都立両国高校附属の4校。一応これらが人気校と言っていいだろう。

 次に難度であるが、中学入試の模試による位置づけでは、男女とも県立千葉、都立小石川中等教育が3模試とも高いことは共通している。あとは模試によりバラバラである。また、「適性検査」は長い文章を読み、記述の分量も多いことから、応募者は女子のほうが多いことがふつうだが、都立小石川中等教育、都立武蔵高校附属、県立相模原中等教育、県立千葉、県立東葛飾といった難しいとされるところは男子のほうが多くなっている。

関連キーワード

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン