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東芝株が東証2部落ちした場合の社員への影響は?

東証2部落ちなら東芝社員はどうなる?

 東芝は2月14日、米子会社のウェスチングハウスの原子力事業が原因で、約7125億円もの巨額損失を計上することを発表。これにより、2017年3月期決算で債務超過に陥ることは確実と見られている。証券アナリストの植木靖男氏はいう。

「東証は上場規定で、決算期末に債務超過となった場合、1部から2部に指定替えを行なうと定めています。このままだと東芝は、今年8月1日付で2部に降格します」

 東芝の社員にとっては、会社が東証1部にいることは、“誇り”などという以前に、いわずもがなの当たり前のことだったはずだ。だが、若手社員は淡々とこう話す。

「東証2部に落ちる? はっきりいって何も感じない。相変わらず会社から情報は降りてこないし。不正会計発覚の頃はまだ、『その件、“チャレンジ”してみなよ』みたいな冗談を言う空気があったけど、もはやそんな余裕もない。どこに身売りされるのかと気が気じゃなく、それどころじゃないって感じですね」(半導体部門の30代研究者)

 いまいち実感が湧かないようだが、2部に降格する影響について前出の植木氏は言う。

「あくまで一般論ですが、一部上場企業のほうが銀行からの信頼が大きくなるので融資が受けやすい。知名度が高くなるので、営業部隊が契約を取りやすくなる。採用の際にも優秀な人材が集まりやすい。

 社員の立場としても、やはり信用力があるので、不動産賃貸物件が借りやすい。金融機関へのローン申請などが通りやすい。転職する場合にも有利で、特に中小企業などでは採用即管理職で迎えられるケースも少なくありません。

 さらにはこれはプライベートの話ですが、合コンでも“格付け”が上がる(笑い)。それぐらい、世間的に『1部上場企業』と2部の差はあるんです」

 婚活パーティーでも、「1部上場企業の男性限定」と謳われるものがある。1部に上場した企業が、派手なパーティーを開いたり、記念品をバラ撒いたりする背景には、その“価値”を実感しているからこそだろう。

 東芝は今後、これまで当たり前のように享受してきた「1部上場」の有り難みを感じることになるのだろうか。経済ジャーナリストの磯山友幸氏はこう言う。

「東芝のある社員が言っていたことですが、『社内では、45歳以上の人と30代で、今回の件に対する認識が違う』と。45歳以上の人は、『東芝という名前を残す』ことにこだわっているが、下の世代は執着していないし、逃げ出す人も多い。

 そういう社員の意識を前提にすれば、東証2部への陥落は、45歳以上の社員にとっては、精神的インパクトが大きいのではないかとも考えられます」

※週刊ポスト2017年3月10日号

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