そのせいか、最近では「法治」を主張する声が高まっている。韓国三大紙の一つで中道右派の「中央日報」は2月16日付の社説「ひたすら憲法の価値で判断してこそ不服を防げる」の中で〈歴史的な(弾劾)審判を静かに見守ろう〉と呼びかけた。また、左派系の日刊紙「ハンギョレ」の論説委員キム・イテク氏は同じ16日に「大統領を選ぶことよりも大事なこと」というコラムの中で、こう論じる。
〈保守と進歩を超え、大部分のメディアが国政ろう断を報じたことが1000万人以上のろうそくを集めた。これを法と制度に昇華させよう〉
韓国メディアはここにきて右も左も基本理念に立ち返ることを求めている。とはいえ、筆者の周囲の喧騒をみる限り、韓国の陣痛はまだまだ続きそうだ。
【PROFILE】1978年生まれ、群馬県出身の在日コリアン三世。日韓で北朝鮮報道に携わったのち、現在はソウル在住。ニュースサイト「韓国大統領選2017」(http://kankoku2017.jp)の編集長を務める。
※SAPIO2017年4月号