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角居勝彦調教師 シャドーロールなど矯正馬具で得られる効果

角居調教師が矯正馬具について語る

 結果を求めて、人間はサラブレッドにさまざまな工夫をほどこしてきた。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、馬装具と矯正ポイントの関係について解説する。

 * * *
 前回は馬の視野を狭めることで走りに集中させるブリンカーについて説明しました。

 ブリンカーと同じ効果を期待するのがチークピーシーズ。目の外側につけるロールです。横、後方の視野をさえぎり、やはり前に意識を集中させる。ブリンカーよりも効果は薄いものの、事前申請なしで使えます。テン乗りの外国人騎手などの進言で急遽使うことがあります。

 ブリンカーやチークは後方の視野を制限しますが、鼻先につけるシャドーロールは下方を見えなくします。足元を気にしたり、影を怖がったりしないようにするためです。

 見えないことで足元に意識がいくため頭が下がり、首の高いフォームを矯正する効果もあります。タメがきいて鞍上の拳のコントロールがききやすい口向きになる。シャドーロールも「見えない恐怖」を巧く利用しています。コントロール効果があり、走るフォームが決まるまでは着け続けたほうがいいようです。

 馬具は2通りに分けることができます。ブリンカーやチークピーシーズのように前進気勢を生み出すための道具は、着けたり外したりすることで効果が出る。シャドーロールのように馬のフォームをつくってあげるための道具は一回使うとなかなか外せません。

 シャドーロールで思い出すのは、「シャドーロールの怪物」と呼ばれたナリタブライアンです。1994年のクラシック三冠馬で、その年の有馬記念まで勝った名馬です。すぐれた集中力とダイナミックなフォームには、白いシャドーロールが濃密に関わっていたのでしょう。デビュー直後は何かに脅えているようだったそうですが、大久保正陽先生の判断でシャドーロールを着けるようになってからは、自分の影を怖がることもなくなったそうです。

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