ビジネス

カーシェア需要拡大中 高級外車からマイカーの貸し借りまで

駐車場大手のパーク24が手掛ける「タイムズカープラス」

 ここ数年、街中のコインパーキングで「カーシェアリングサービス」の案内とともに専用車両が駐車してある光景をよく見かけるようになった。それもそのはず、会員登録を行なった利用者が特定のクルマを共同利用するカーシェア需要は右肩上がりで伸びている。

 市場調査会社の富士経済が3月3日に発表した調査結果によると、2014年に495万人だったカーシェアの累計加入者数は、2016年には845万人まで増加。さらに2020年予測では2081万人と2016年比で2.46倍へと拡大する見込みだ。

 ここまでカーシェア人気が高まっている理由は何か。同調査を担当した富士経済・名古屋マーケティング本部調査員の玉木孝児氏に聞いた。

「一番大きな要因は、若者や高齢者を中心に進む“クルマ離れ”です。特に都心部を中心に自動車の非保有の考え方が広がりつつあることに加え、マイカーを持っている人でも、たまにしか乗らなくても維持費は馬鹿にならないため手放そうとしている人も多い。

 それに対し、カーシェアは月額基本料さえ払えば乗った時間・距離に応じた料金で済むため、安上がりといえます。この先、カーシェアリングは交通手段のひとつとしてますます根付いていくでしょう」

 実際の料金体系はこうだ。各事業者によって格差はあるものの、初めにかかる1000円~1500円程度の初期費用と、1000円~2000円ほどの月額基本料を支払えば、好きな日時にクルマを利用することができる。

 利用料金は10~15分毎に200円~400円、それに1km毎に10~20円の距離料金が発生することもある。中には月額基本料が無料のプランもあるが、その場合は利用料金が高めに設定されている。その他、長時間利用者のために、さまざまなパッケージプランを用意する事業者も多い。

 現在、カーシェアの国内市場で激しい「縄張り争い」をしているのは大手3社だ。事業規模・会員数ともに独走するのは、駐車場運営で知られるパーク24が手掛ける「タイムズカープラス」。全国8800か所の拠点に約1万7000台のカーシェア専用車両を配置。会員数は75万人にも及ぶ。

 2位は他社に先駆けてカーシェアサービスを始めたオリックスの「オリックスカーシェア」。ステーション数はおよそ1500か所で約2400台のシェア専用車両が稼働する。会員数は16万人に達し着実にその数を増やしている。

 3位は大手不動産の三井不動産がサービスを提供する「カレコ・カーシェアリングクラブ」。
同社は駐車場「三井のリパーク」を展開する子会社を持っていたが、4月1日に吸収合併し、より機動的にカーシェア事業を行なえる体制を整えた。

 現在の拠点数は約1000か所、約1500台の車両と5万人あまりの会員を有する。同社は高級車「メルセデス・ベンツ」やキャンピングカーなどバラエティに富んだ車種を揃え、他社との差別化を図っているのが特徴的だ。

 各社とも今後は自社で運営するコインパーキングや個人・法人の空き駐車場などをステーションにして、拠点数のさらなる拡大を狙っている。

 だが、そんな成長著しい市場のカーシェア事業にも課題はある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン