「何かしなければいけない、と焦りながらも、途方もない被害を前に何をすればいいのかわからない。多くの人と同じように、ジュリーも悩みました。原発事故を目の当たりにして、この国の政策に疑問も募っていった。

 でも、彼は芸能人。政治的な発言には慎重にならざるをえない。そんな時、芸能人でありながら反原発を叫ぶ山本太郎さん(42才)を見て感銘を受けたそうです。“60過ぎて地位もクソもあるか”と開き直るようになりました」(音楽関係者)

 2012年以降、ジュリーは毎年3月11日に新アルバムを出し続けた。全作、テーマは「被災者への祈り」と「反原発」。

 福島原発を表す『F.A.P.P』(2012年)という歌では、《死の街は死なない》《何を護るのだ国は》と叫び、『こっちの水苦いぞ』(2015年)では原発再稼働を憂いた。

 ライブ中のMCでも「あっかん安倍!」と反安倍政権を鮮明にし、憲法改正に反対する歌も作った。リスクは承知。それ以上に「言いたいことを言う」という原点に帰ったのだ。ジュリーのファンは、彼の外見と内面の変化をまるごと受け入れている。

 昨年11月、ジュリーの特集をしたシニア女性誌『ハルメク』(11月号)が発売即完売した。記事のテーマは「ジュリーという生き方」。1960年代にアイドルとして一時代を築いたジュリーが、年を重ね、体力の衰えを自覚しながらも、被災者を想い歌に賭ける生き様を書いた。音楽評論家の湯川れい子さんが語る。

「欧米に比べて、日本の芸能界は大衆娯楽の側面が強いので、政治的発言をすると引いてしまうファンが多いんですよね。それでもジュリーが闘っていけるのは、彼が大きなプロダクションやレコード会社に所属せず、一人で活動しているからだと思います。

 全部個人でやってきたから、誰よりも自分のファンのことをわかっているんです。50年もの間支えてきてくれたかたがたは、見てくれの格好良さではなく、“ありのままのジュリー”を求めている。彼には正直でいてほしい、と願っている。だから、ジュリーも自分に嘘をつかずに活動を続けることができるんです」

※女性セブン2017年4月6日号

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