スポーツ

清宮幸太郎「理想の選手は、松井秀喜さんと王貞治さんです」

怪物・清宮幸太郎はどれだけ成長しているか

 春の選抜高校野球にいよいよ真打ち登場だ。高校・大学野球の選手向けフリーマガジン「サムライベースボール」の編集長である古内義明氏が、清宮幸太郎が追い求める理想についてレポートする。

 * * *
 早実の清宮幸太郎が甲子園に帰って来る。高校1年の夏、日本中が注目した怪物。最上級生となった清宮がどんな成長を遂げるのか。第89回を数えるセンバツの最大の注目点と言っても過言ではない。

 3月10日に行われた抽選会。大会5日目(23日)の第2試合で、「早実対明徳義塾」の対戦が決まると、会場はどよめきに包まれた。明徳義塾のイメージを聞かれた清宮は、「やっぱり松井さんのやつ(甲子園での5打席連続敬遠)じゃないですかね」と話した。1999年生まれの清宮だが、1992年夏の甲子園で、当時の星稜の4番だった松井秀喜氏が5打席連続敬遠する姿は、映像で見たことがあるという。

 一方、明徳義塾の指揮官は、歴代5位の通算48勝を挙げた百戦錬磨の馬淵史郎監督。「清宮君の大会みたいな感じで盛り上がっていますから」と意識し、「(全打席敬遠は)ない。松井に怒られる。終盤の1点リードだったり、状況によって(敬遠策は)やる」。選抜初優勝を目指す知将は、清宮封じに力を込めていた。

 かつて松井秀喜氏に、「5打席連続敬遠」に関して水を向けたことがある。

「漫画『ドカベン』が好きで、山田太郎と同じ5打席連続敬遠と同じ体験をするとは、夢にも思いませんでした」と懐かしむと、「あの経験はいまでも大きな財産で、その後の野球人生でプレッシャーに感じたこともありました。5打席連続で敬遠された打者を背負っていき、心のどこかで、それほど脅威であることを証明しなければいけない気持ちがありました」と吐露した。

 新チームになって、主将に就任した清宮は、「GO!GO!GO!」のチームスローガンを掲げて、秋の明治神宮大会で準優勝し、4年ぶり21回目の選抜出場を決めた。清宮自身は高校通算79本塁打をマークし、和泉実監督も、「打とうという気持ちの強さと修正能力の高さ」を評価している。

 かつて「理想の選手」という話になった時、清宮はひと呼吸おいてから言った。

「リトルリーグの世界大会後、ヤンキースタジアムに行ったことは今でも鮮明に覚えています。ここでやらなければいけないと言われているような、威圧感のあるスタジアムでした。そこで活躍した松井秀喜さんです」

 あの時、理想に上げた松井秀喜氏が、「あの日があったからこそ」と野球人生のターニングポイントに上げた明徳義塾と、今度は清宮が対戦することになるとは、野球の神様も粋な計らいをするものだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン