国内

室内の墓参りに来た85才、かつては抵抗感あったが今は満足

500万円の特別個室はホテルに例えればスイートルーム

 折しもお彼岸の今、中高年以上の人にとって大きな悩みとなっているのが、お墓をどうするかという問題だ。少子化や遠距離などさまざまな事情で無縁化した数多の墓が社会問題になっている。そんな中、改葬先として近年、急速に数を増やし、大きな注目を集める「室内墓」とはどんなものなのだろうか? 「新宿南口徒歩3分」のキャッチフレーズで知られる新宿瑠璃光院白蓮華堂を訪ねたノンフィクションライターの井上理津子さんがレポートする。

 * * *
 お墓参りに来た人に、話を聞けた。世田谷区の小川友英さん(85才)。とてもその年齢には見えない、元気な女性だ。

「昭和の終わりに亡くなった夫も私も東京の生まれ育ちですが、もとは立派な先祖代々のお墓が平塚(神奈川県)の天台宗のお寺にあったんです。電車とバスを乗り継ぎ片道2時間かけてお墓参りに毎月通っていましたが、大変でした。都内に移すか移すまいか。10年悩んだ末、ここを見て一目で気に入っちゃったんです」

 室内墓に抵抗感を持つ層はいる。小川さんもまた当初はそうだったと言う。洋家具商だった亡き夫は10人きょうだいの長男。大家族だった頃が懐かしい。平塚のお墓には、夫とその両親、妹、弟の5人が入っていた。

 小川さんには娘が2人。嫁いでいる。自分が、小川家のお墓の「片をつけないといけない」と自覚していたから、天台宗の本山、比叡山への納骨を考え、2、3度見学に行った。「決心がつかなかったのは、いかんせん京都だから。私も、存命の夫のきょうだいも、そうたびたび京都まで参れませんでしょう?」

 同居する次女夫婦が建築士で、新宿瑠璃光院白蓮華堂の設計者、竹山聖氏とご縁があるそうだ。「内覧会の案内が来たから、お母さん、一緒に見に行かない?」と誘われたが、「室内のお墓なんて」と行かなかった。墓相学の先生の教えを受けた時期があり、小川さんにとって「骨は土に返す」が命題。5人の遺骨は、夫と共に朱書きした108枚の写経の紙に包んでお墓に入れていたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
「寂しい見た目」の給食に批判が殺到(X /時事通信フォト)
《中国でもヤバい給食に批判殺到》ラー油かけご飯、唐揚げ1つ、「ご飯にたまご焼きだけ」と炎上した天津丼…日本・中国で相次ぐ貧相給食の背景にある“事情の違い”
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン