3.どんな場合も「失うものは何もない状態」に追いつめてはいけない
籠池氏の証人喚問が、立場や考え方の枠を超えて興味深いものになったのは、彼がとことん追いつめられていて、もはや「失うものは何もない状態」にあるから。保身を考える必要はないので、どんな内緒の話でも洗いざらい話せるし、誰かをかばう必要もありません。逆に、嘘八百で誰かを陥れることだってできます。
こういう人間ほど怖い存在はありません。私たちは国会に証人や参考人として呼ばれる可能性はまずありませんが、日常生活でも相手を追い詰めすぎないように気を付けたいところ。それこそ「窮鼠猫を噛む」ということわざもあります。ミスをした後輩や部下を叱るときも、逃げ道を残しておいてやらないと、破れかぶれになってこっちの悪行やこっそり言った社長の悪口を大勢の前で披露してしまうかもしれません。
籠池氏は、緊迫したショーで楽しませてくれた上に、大人として大切な教訓まで与えてくれました。さすが「教育者」を名乗ってらっしゃるだけのことはあります。この先も、反面教師としての役割も含めて、さまざまな形でさまざまな教訓を与えてくれるでしょう。ただまあ、幼稚園児や小学生に伝えたい教訓は出てこなさそうですが。