「素人を使った番組企画が他局で採用されなくても、テレ東なら受け付けてくれるかもしれないという淡い期待があります。またここ数年は“テレ東の番組=素人ドキュメンタリー”というイメージが良い意味で広がり、最初からテレ東狙いで面白い素人の番組を考えるテレビマンも多くなってきたのではないでしょうか」(放送作家)
さらに考えられるのが、CMスポンサーとの関係性だという。
「テレ東の素人番組は、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)や『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)といったナレーションでいじるやり方はせず、素人の生活や素顔など、ある意味ストレートに見せている。このことによってスポンサードしている企業は好印象に思ってくれるでしょうし、そんな番組に広告を出稿しているということでスポンサー自体のイメージも良くなる効果を生んでいます」(同)
また、ほかの民放と比べ、芸能プロダクションと適度な距離をとっており、テレビ業界でよくある「今度、このタレントを使ってよ」といったプロダクションからのプッシュに縛られない、“しがらみの少なさ”も良い方向に作用していると考えられる。
そんな「素人ドキュメンタリー」がテレ東で開花した原点は、昭和から平成にかわった1989年。『日曜ビッグスペシャル』(現在の『日曜ビッグバラエティ』)で「大食い選手権」がオンエアされたのだ。全国の名もなき大食漢がひたすら食べる姿が思わぬ感動を呼び、他局も追随するほどの大ブームに。そこから派生して作られたのが、その道の達人同士が競いあう『TVチャンピオン』。家具や船をダンボールで作る「ダンボールアート選手権」、「宝石」や「花」といったテーマでケーキを作る「ケーキ職人選手権」といった人気コンテンツが次々と誕生。1993年10月21日放送の「第2回 全国選抜和菓子職人選手権」は番組歴代最高となる20.1%を記録した。