国内

たばこ規制推進派の山東昭子議員「屋外喫煙所も整備すべき」

「喫煙者がたばこを吸う自由ももちろんある」と山東議員

 飲食店内の「原則禁煙」をはじめ、政府が“屋内全面禁煙”を目指して罰則付きの新たな法整備(健康増進法改正案)を急いでいる問題は、永田町内でも賛否が分かれ収拾がつかない状況になっている。

 その混乱ぶりは、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止策などを話し合う国会議員連盟が複数存在し、それぞれ異なる提案をしていることからも明らかだ。

 超党派の議員らでつくる「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」(会長/尾辻秀久・元厚労相)が、厚生労働省が示す屋内禁煙の方向性と歩調を合わせたかと思えば、自民党の「たばこ議員連盟」(会長/野田毅・前党税制調査会長)は、「世界に誇る分煙先進国の実現」を掲げ、一律の規制強化に反対の立場を貫いている。

 また、今年2月には民進党内でも松原仁・党東京都連会長が「分煙推進議員連盟」を立ち上げ、「原理主義的に建物内禁煙を進めるべきではない」と主張。“完全分煙社会”を実現すべく、独自の立法案を練っている。

 禁煙強化か、分煙推進か──。たばこ問題をめぐる攻防が最終局面を迎える中、当サイトでは、衆参合わせて77名の議員が所属する「自民党受動喫煙防止議員連盟」会長の山東昭子・参院議員に話を聞いた。

 * * *
──受動喫煙防止議連は、原則屋内禁煙を目指す厚労省案に賛成ですか。

山東:はい。私たちの議連は2011年の設立以降、受動喫煙防止について勉強会を開いたり、関係者からヒアリングを行なったりしてきました。いまや自分でたばこを吸う「主流煙」よりも、他人の煙を吸い込む「副流煙」の被害のほうが問題で、年間1万5000人もの人が受動喫煙で亡くなっているというデータもあります。

 それは煙を完全にシャットアウトできない屋内であればなお深刻です。規制強化の焦点となっている飲食店では、いまだに喫煙者の上司に誘われて隣の席で煙を我慢している人だっているでしょうし、非喫煙者の若いアルバイトなどへの将来的な影響も心配されます。

 日本ではこれまで受動喫煙の防止は長らく(事業者側の)「努力義務」に定められていましたが、世界を見渡せば建物内禁煙は当たり前。日本の受動喫煙は世界最低レベルといわれています。2020年には東京オリンピック開催を控え、WHO(世界保健機関)とIOC(国際オリンピック委員会)との間では「たばこのない五輪」推進の約束もしています。

 国民の健康を守る意味でも、このタイミングで何らかの法規制をするのは仕方のないことだと思います。

──厚労省案では、主に酒類を提供する居酒屋やBARで、店舗面積が30平方メートル以下の小さな店は規制の対象外にしようという案も検討されているようですが。

山東:まだはっきりと法律案として明示されていないので、細かい部分についてはこれからの議論になってくると思いますが、あまり「ここまでは喫煙OK」といった例外を設けると歯止めがなくなってしまう恐れがあります。

 いまはライフスタイルが変わって、居酒屋やBARにもリーズナブルなレストランとして家族連れが食事に行くこともあるでしょうし、カジュアルな日本食ブームで外国人観光客が小さな店を訪れる機会も増えるでしょう。そんなとき、喫煙自由の店だったら拒絶する人だっているはずです。

──では、飲食店の業態や面積にかかわらず、一律規制すべきだと?

山東:シガーバーなど一部、完全喫煙可の店があってもいいとは思いますが、基本的には屋内禁煙の方向に異論はありません。

──しかし、そうなると厚労省が認めている「喫煙室」が設置できる大きな店にばかり喫煙者が流れてしまう可能性がある。

山東:そこもこれから議論しなければなりません。いまは優れた分煙技術やシステムが登場しているので、狭い店でも煙が漏れないようにすることは可能ですが、そのための設備投資には多額のお金もかかりますし、小さくて経営的に余裕のない店は導入できません。

 分煙設備が設けられないがために、もしオーナー夫婦が2人だけでやっているような個性溢れる飲食店がツブれてしまうことがあれば、それこそ大手チェーンしか生き残れないことになります。そうした事態は日本の多様な飲食文化を守るうえでも望ましくありません。

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