ライフ

金閣寺と銀閣寺の住職「物事を引き算で考えることが大事」

金閣寺と銀閣寺の住職・有馬賴底師

 京都を代表する寺である金閣寺(鹿苑寺)と銀閣寺(慈照寺)。この両寺で住職を務める「仏教界の大重鎮」が、臨済宗相国寺派(※仏教の宗派の1つ。1392年に臨済宗の禅僧・夢窓疎石が開き、禅宗文化を広めた)第7代管長の有馬賴底(らいてい)師(84)だ。有馬師がこのたび上梓したのが『人生は引き算で豊かになる』(文響社刊)だ。彼の言葉を聞いていると、心がふんわり軽くなる。有馬師に、人生を穏やかに過ごすにはどうしたらよいのかを聞いた。

 * * *
 人生を穏やかに過ごすには、物事を引き算で考えることが大事です。引き算とは、「煩悩を捨てる」ということ。大切なのは「捨てる勇気」なのです。

〈有馬師は、ゆっくりとそう話し始めると、まず馬祖(※中国・唐代(618~907年)の間に活躍した僧侶。中国における仏教の一派である南宗禅の祖となった)の弟子であった「ホウ居士」(※ホウはまだれに龍)の例を挙げた。〉

 ホウ居士は商売で成功し、お金や財宝をたくさん持つ大富豪でした。しかしある日、船で川を下る最中、「なぜ私はこのようなものに執着しているのか」と、持っている財宝をすべて捨ててしまった。すると、これまで心を覆っていた悩みが消え去り、晴れやかな心持ちになったと伝えられます。これこそが煩悩を捨てること。「何かをずっと持っている状態」は、色々な悩みを生む原因となります。得たものはすぐに捨て、常に心を空にしておくことで、新しいものが入ってくる。それが人生の引き算です。

 執着心の対象は過去の栄光や財産など、様々です。それらを自ら打ち砕き、次に進む意識を持つことが大事です。

 捨てるばかりでなく「何かを得よう」と努力することももちろん大切です。ただし、そこに「他人に認められたい」という執着があってはならない。向上心は大切ですが、それは自己の精神を高めるためであり、承認欲求を満足させるためではないのです。そういった目的を捨て“無心”になり学ぶことが大切です。

関連キーワード

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン