創業家以外の社長が続いていたセコムでもいよいよ“大政奉還”に動き出した。昨年5月の取締役会で前田修司・会長と伊藤博・社長がそろって解任され、後任社長に中山泰男・常務が昇格した。
中山氏も創業家出身ではないが、翌月の株主総会で創業者である飯田亮・最高顧問の娘婿、尾関一郎氏が取締役に抜擢され、「後継社長のレールが敷かれた」と見られている。経済ジャーナリストの福田俊之氏は言う。
「企業のリーダーは孤独ですが、創業家の場合、家という味方がある。信用できる家族をもとにした一族の安心感がある。そこも、今の不透明な時代に創業家が再び求心力を持ち得る理由でしょう。それに企業が継続性を考えるときに、創業家の方が正統性がありまとまりやすい。いわば社員の側が、象徴としての創業家を求めているのかもしれません」
※週刊ポスト2017年5月5・12日号