国内

小金井ストーカー刺傷犯が拘置所で全冊読破した本とは?

拘置所で全冊読破した本とは?

 若者の読者離れが叫ばれるなか、誰もが読書家になるのは刑務所、あるいは拘置所だ。罪を犯した人々は、塀の中でどんな本を読んでいるのか? ノンフィクションライターの高橋ユキ氏が迫る。刑事施設が貸し出す「官本」というものも存在する。

 * * *
 官本がきっかけで小説のシリーズ全冊を読破したと語るのは、岩崎友宏受刑者(28)だ。昨年5月に東京・小金井市でシンガーソングライターや女優として活動していた冨田真由さん(21)をナイフで滅多刺しにした犯人である。今年2月、懲役14年6か月の判決が言い渡され、現在は刑が確定。立川拘置所で面会したのは刑の確定直後だった。

「医師の海堂尊さんが書いた小説『チーム・バチスタの栄光』(宝島社文庫)シリーズは弁護士に頼んで買ってきてもらったり、自分で買ったりして、全冊すべて読みました。警察署(留置場)の官本を1冊読んだら全部読んでみたくなって。逮捕されてから100冊以上、本を読みました。

 このシリーズは医療、警察、司法、行政などについて書かれていて、勉強になりました。通り魔に襲われてPTSD(心的外傷後ストレス障害)になって、最後は自殺しちゃった女の子のことが出てきたんです。PTSDは精神的に重い症状だけども、冨田さんは社会復帰できるのかなと……復帰してほしいですね」

 岩崎受刑者は冨田さんのファンだったが、ツイッターなどに執拗な書き込みを繰り返した上で犯行に及び、公判でも「じゃあ殺せよ」と法廷で怒鳴るなど反省の色が見えない態度だった。この期に及んでも“彼女は登場人物のように自殺しなかったから軽い症状なのだ”と思い込もうとし、自身の行為から目をそらし続けているようにも感じた。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号

関連キーワード

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン