「加齢によって少しずつ血糖値が上昇するほうが脳や筋肉に十分な栄養が届けられるのです。しかし脳が栄養不足に陥ると認知機能の低下に繋がり、また筋肉が栄養不足になると運動能力が低下して転倒の原因になる。高齢者が若い人と同じ量の薬を飲むことにはリスクが潜んでいる点を自覚してほしい」(大櫛氏)
重篤な副作用を引き起こしてからでは遅い。医療従事者向けに発表された「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の作成メンバーの1人である至髙会たかせクリニック理事長の高瀬義昌氏が話す。
「脳機能などに作用する薬は、特に注意が必要です。『ドグマチール』という抗うつ剤は、成人なら1日50mgを3錠飲むことが『用量』ですが、高齢者がその量を飲み続けるとパーキンソン病の症状を発症する可能性が指摘されています。私は高齢者にドグマチールを処方する際は、規定量の15分の1から始めています」
※週刊ポスト2017年5月26日号