今年二月のNHK福祉大相撲での余興で、星野源『恋』を歌ったときには、すぐ横で恋ダンスを踊る駿馬をたのもしげに見つめ「幸せすぎてどうにかなっちゃいそう」といった表情を浮かべていた。それにしてもこのときの駿馬の恋ダンスのキレの良さを見て私は、この力士が前二場所の好調そのままに春場所も突き進むことを確信していた。
駿馬は今年三月場所で三十五歳二か月、相撲史上最高齢の新幕下昇進。元気いっぱいに六勝一敗。付き人の活躍に照ノ富士も「置いて行かれないぞ」と力をもらい、九場所ぶりの二桁、十三勝を果たし、稀勢の里と優勝を争った。
ところで不思議なことがある。二〇一〇年の名鑑には「身長百六十九センチ」とある駿馬が、今年の名鑑には「百六十三センチ」となっている。六センチも縮むほど稽古を重ねたのか、この五月場所は東幕下五十一枚目から東幕下二十二枚目への大躍進。三十五歳、自己最高位更新中である。
※週刊ポスト2017年5月26日号