中国政府も警戒を強めている
日本では神秘的な「シルクロード」の観光地とのイメージが強い新疆ウイグル自治区だが、いまやイスラム国(IS)の戦士の補給基地となっており、シリアでは5000人ものウイグル族などの中国系戦士が活動していることが分かった。中国政府はテロリストとなった中国系戦士が同自治区に戻り、テロ活動を活発化している、として警戒を強めている。
イマッド・ムスタファ駐中国シリア大使が、5月初旬に北京で開催されたシリアへの経済投資セミナーで講演して明らかにした。
同自治区政府の主要ポストや経済の実権はほとんどが中国の内地から移住してきた漢族(中国人)が握っていることから、漢族の権力集中にイスラム教徒である地元住民のウイグル族や回族の住民らが強い不満を募らせ、トルコや東南アジア経由で出国しているという。
ムスタファ大使によると、これまでもシリア政府軍とISグループの戦闘で、多数のウイグル族などの中国系戦士が投降、捕虜になっている。大使は「彼らの証言から、ここ数年で、ISで訓練を受けた中国系戦士ら数百人が中国に戻っており、同自治区内でテロ活動を活発化させていることが分かっている」と明らかにしている。
たとえば、同自治区ホータン地区カラカシュ県では昨年12月28日、3人が乗った車が県共産党委員会の建物に突入し、刃物で職員らを襲撃した上、爆発物を起爆させる事件が発生。同委員会の幹部と警備員の計2人が死亡し、別の幹部3人が軽傷を負い、突入した3人は警官によって射殺されたという。