ライフ

日本人の10%強が罹患の過敏性腸症候群、新薬で予防効果期待

過敏性腸症候群の治療最前線を解説

 過敏性腸症候群は、10~40代と若い世代での発症が多く、日本人の10~15%が罹患していると推計されている。主な症状は、腹痛や腹部不快感を伴う下痢や便秘が慢性的、持続的に起こる。下痢型は若い男性に多く、女性は下痢と便秘を繰り返す混合型と便秘型が多い。高齢男性は加齢による機能性便秘が多いが、中には過敏性大腸炎もある。

 鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)の鳥居明院長に話を聞いた。

「この病気は、ストレスと密接な関係があります。例えば、ストレスがかかると腸からセロトニンが大量に出て、腸管運動が活発になったり、知覚過敏が起こって下痢や腹痛になります。セロトニンの約95%が、腸管で産生されているからです。また、ストレスで自律神経のバランスが崩れ、排便異常が起こりやすくもなります。腸に対し、ストレスがリスクになることを“脳腸相関”と呼んでます」

 成人で発症する過敏性腸症候群は、病原性大腸菌などの細菌感染後に発症することが多い。大腸菌が粘膜に悪さをするだけでなく、菌がガスを発生することで膨満感を生じる。菌は共生菌として腸管に残り、セロトニンの感受性を高め、その結果、複合要因で過敏性腸症候群が発症すると考えられている。

 診断には血液検査、腹部のX線検査、便潜血反応などで似たような症状を示す他の病気の可能性を排除する。例えば、血液検査では甲状腺機能を調べる。機能亢進では下痢に、低下では便秘になる。膵臓病は下痢とともに、腹部の張りを訴えることが多い。

 そして、潰瘍性大腸炎やクローン病では出血病変があるため、便潜血検査で、その有無を確認する。潜血反応があれば、腸のポリープやがんなどの病気がないかの確認が必要だ。この施設では、便の培養検査を実施することで、病原性大腸菌感染も調べている。

 これらの検査と並行して、ローマでの国際会議で定められた診断基準による問診で、自覚症状を確認する。腹部不快感(ガスが溜まることによる腹痛や膨満感)、排便回数や便の状態などに異常な症状が3か月以上あるかどうかにより診断を行なう。

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」