保衛部幹部が、以上2件のテロ計画を明らかにしたのは、犯行を未然に防いだことと、速やかに通報することの重要性を強調する狙いがあったようだ。関係者によると、保衛部幹部は講演で、重ねて次のように訴えていた。
「敵がまず手をつけるのは太陽像(金日成主席、金総書記の銅像)や(金主席は永遠に人民と共にいるという内容が刻まれた)永生塔、党のスローガンだ。7回党大会の全期間、いかなる政治的事故も起きないように、われわれは覚醒しなければならない。言葉と行動、事業と生活で不審な兆しを発見した場合、直ちに保衛部を訪ね、申告することが重要だ」
【PROFILE】しろうち・やすのぶ/北朝鮮事情に精通するジャーナリスト。主な著書に『猛牛(ファンソ)と呼ばれた男』『昭和二十五年 最後の戦死者』『朝鮮半島で迎えた敗戦』など。
※SAPIO2017年7月号