個人的にいちばんおもしろかったのは、愛読者かつ作家仲間として質問を繰り出していた川上氏が、途中で「(村上氏の作品の中では)女性がセックスをする役割になってしまう」と指摘するところだ。村上氏は「よくわからないけど」と答えを避けるが、川上氏はたじろがず「あえてフェミニズム的に読むとしたら、『そうか、今回もまた女性が男性の自己実現のために、血を流して犠牲になるのか』というような感じ」と迫る。
このようにただのファン目線のインタビューとも本書は違うのだ。ハルキをわかったつもりになっている人、これまで敬遠していた人なども一読してみてはいかがか。
※週刊ポスト2017年6月16日号