──いったいなぜですか。
「いちいち報告すると、うるさいって知事に言われるから報告しない風潮が20年の間に生まれていたんじゃないかと思うんです。私は着任して驚いたんですが、知事室にちゃんとした会議机すらなかった」
──どういうことですか。
「各局の幹部が集まる会議すらしていなかったんでしょう。私みたいに毎日(都庁に)来れば、10分ずつ時間を取れば全局からブリーフィングを受けられる。しかし、そんな時間はなかった。別に役人を擁護するわけじゃないけれど、そういうことになると、必要な報告であっても、自分たちが粛々と進めていることは報告もしなくなる。やっぱり知事が常時いないっていうことがそういう弊害を生んだんじゃないかという気がします」
聞き手■青木理(ジャーナリスト)
※SAPIO2017年7月号