20年の澱が積み重なって膨らんだ都政と都議会の歪み。その極北はもちろん、いまなお混迷が続く築地市場の豊洲移転問題であろう。
新市場の用地となった豊洲が東京ガスの工場跡地で、地中が汚染されていたのは周知の事実だった。だが、土壌改良と盛り土を施せば十分安全を確保できるそういって新市場は建設が強行された。舛添氏が知事に就任した前後、すでに工事は始まっていて、後戻りできる状況ではなかった。
ところが舛添氏が知事を追われ、小池新知事が就任した直後、とんでもない事実が発覚して大混乱に陥る。あらためて説明の要はないだろう、盛り土を施されていたはずの基礎部分につくられていた「謎の地下空間」である。
──舛添さんは知らなかったんですか?
「まったく報告を受けてない。本当に頭にきたけれど、盛り土ではなくコンクリート空間にして問題ないなら、きちんと説明すればいい。ところがそれをしない。必要な説明をしないようなシステムになっていたんです。
もちろん東京都は図体がでかくて、バスや地下鉄から水道や下水道、その他にも公営企業がいっぱいある。だから細かいことまでいちいち知事にあげる必要はないんですが、重要な決定も同じように考えてしまっているフシがある」