もとより健全な話ではない。ただ、メディアが盛んに描いた“悪役”イメージとは異なり、内田氏を肯定的に評価する向きが都庁の内外にはいて、どうやら舛添氏も同じように考えていたらしい。新著にはこんな内田評が記されている。
〈マスコミに舛添バッシングと同様の扱いを受けたのが「都議会のドン」と揶揄された内田茂である。彼ほどマスコミが垂れ流したイメージと実像が異なる人も珍しい〉
では、内田氏の実像とはいかなるものか。再び舛添の話である。
「確かにフィクサーではあるんです。都議会のフィクサー的な機能を果たしていたのですが、非常に繊細なところもある人です」(舛添氏・以下「」内同)
──というと?
「おそらく内田さんの言うことを一番断ったのが私だと思うんです。そうすると内田さん、物も言わなくなっちゃう。私はこういう性格だから、会うと『いやぁ、こんにちは』って言うけど、あいさつすらしなくなっちゃう」
──しかし、都議会でフィクサー的な役割を果たし、都の元幹部は「助けられた」と話していました。
「予算でもなんでも、議会の同意を得なくては動きませんからね。その点で役に立つ。たとえば石原知事時代、興味のないことは見向きもしない。大事な案件があっても登庁すらしない。しかし、予算でも条例でも議会を通さなくちゃいけない。すると議会に頼るしかなくて、内田さんの権力がどんどん増す。つまり内田さんの権力を高めたのは、前任の知事たちなんです」